鵜の眼・鷹の眼ご意見番

鵜の眼、鷹の眼の視点で、世の中の不可思議を切り取っていくブログです

羽生結弦の北京五輪 浅田真央のデジャブ

 羽生結弦北京五輪が終わった。最終のフリーの演技を実施する前からずっと浅田真央のデジャブを感じていた。それはおそらく自分だけのことではないように思う。

 浅田真央の2018年のソチオリンピックは日本中、いや世界中からの金メダルの期待の中、ショートプログラムでのまさかの失敗で16位と出遅れた。金メダルは絶望的と目された中で悲願のトリプルアクセル成功に臨んだのだった。この浅田真央が味わった苦汁のオリンピックを将に羽生結弦が味わったということになる。

 しかし冷静に考えてみれば、羽生はこの時既に二回連続のオリンピック金メダルを受賞しており、レベルが違うとも言えるかもしれない。マスコミが当然の事のようにオリンピック三連覇を煽り過ぎた為にショートプログラムでの失敗で金メダル絶望というショックを全世界に味わわせただけだったのかもしれない。オリンピック三連覇はその前はロシアのプルシェンコ辺りかと何となく思っていたが94年ぶりという事でそんな筈はなく今とは遥かにレベルの違う第二次世界大戦前という怖ろしく昔の出来事だったのだ。

 普通の常識でははあり得ないオリンピック金メダルの三連覇という夢にマスコミに踊らされて期待しただけで、あれだけ世代交代の激しいフィギュア競技の中で三度目という偉業を達成するには普通は守りに走る筈のディフェンディングチャンピヨンが大会の前から誰も成し遂げたことのない大技を達成しなければ金メダルはあり得ないと予測した羽生の先見の明にマスコミは誰一人として気づかなかったことを恥ずべきでなないのかと今となっては思うのだ。

 私が一番驚いたのは不運な事故でショートプログラム8位と大きく躓いて金は絶望と世界中を落胆させた中で、フリーの巻き返しの演技でクワッドアクセルとそれに続く四回転ジャンプの失敗にも関わらず今回のメダリスト以外は誰も羽生の演技以上の点数を獲得することが出来ず失敗の連続だった羽生がメダリストに次ぐ四位の成績だったということだ。それだけ羽生は守りには走らず金メダル以外なら全てを犠牲にしてもいいという高いレベルで臨んだ演技だったという事なのだろう。羽生自信が語った「天国と地獄」という演技に使った楽曲の意味もそこに篭められていたに違いないと今では納得する羽生の演技だった。