鵜の眼・鷹の眼ご意見番

鵜の眼、鷹の眼の視点で、世の中の不可思議を切り取っていくブログです

東京裁判を視聴して

 

NHK SP番組 東京裁判(2020年、再放送版)を視聴して

 

 今日、この夏の終戦記念日前後に収録したNHK SP番組「東京裁判」をやっと観終えた。観る前に、この手の報道番組を安易な気持で観て大丈夫だろうかと事前にネット評判を見てみた。殆どがNHKによるお手盛り礼賛記事だったが、ひとつだけ警鐘を鳴らしている記事があって、それは月刊雑誌、正論の過去の論評だった。(この番組がそもそも2016年末初放映の再放送だったこともある。)戦争認識についての誤った偏向報道であるという批判だった。

 如何にもありそうな批判記事だったので、この番組を観るにあたっては構えるものがあった。そしてそれは半分、私にとっては危惧ではあったものの、一般視聴者にとっては真っ当なそれこそ正論だったかもしれない。

 

 あらためてこの「東京裁判」を全編に亘って観終わって、やはり東京裁判について知らなかった事が多々あり、見ておいて良かったという面は多々あった。知ってはいたが改めて思い返したこともある。例えば戦勝国としての中国代表は蒋介石率いる中華民国であり、裁判当時、内紛と呼ばれる中国共産党との戦争中だったということ。インドは日本の手助けもあって独立を成し遂げようとしていた直前にあり、文字通り侵略をしたイギリスと共に戦勝国側として裁判判事を送り込んでいたという事。知らなかったと言う点では、裁判の中で残虐極まる行為として(おそらくそれはC級戦犯として扱われたのだろうが)東京大空襲や原爆投下といった事実も裁判中に言及されていたことなどがある。

 観終わった後、雑誌正論が批判していた歴史認識に関する誤った偏向とは何だったのだろうかと、その解説記事を読み返してしまった。そしてそれは、主に日本が行ったのは侵略だったのかという点についてである。これについてはその事に対して自分なりの見解があったために、誤った解釈を押し付けられるのは危惧でしかなかったが、しかしこの番組を何も知らない先入観の無い若い世代、特に小、中学生あたり、もしかすると高校生、大学生でもそうかもしれないが、に対して見せることの危険性が無いかと言われれば、確かに甚だ危険と言わざるを得ない。

 それぐらい日本の戦後の歴史教育は偏ったものであり、それが未だに脈々と受け継がれていると言わざるを得ないのだ。事実だけを正確に読み解けば、東京裁判は侵略行為を延々と長きに亘って行い続けてきた欧米各国が侵略行為という名の大義名分で日本を侵略行為の戦争と断罪し、その責任者たちをA級戦犯として断罪したという事実に他ならない。驚くのは中国人がその片棒を担いでいたという事。この愚かな中国人たちはその後、同じ中国人と言えるか微妙ではあるが、中国共産党によって国を侵略され中国本土から追放されることになるのだ。そして近視眼的な視線は南京大虐殺と呼ばれる本当かどうか真偽の疑わしい行為について、東京大空襲、二度に亘る原爆投下という誰の目にも明らかな残虐極まりない行為を見ない振りをして、一大事として扱って断罪したのである。

 このドキュメンタリー番組(ドキュメンタリー番組と呼んでいいかの是非は一旦置いておくとして)を観終わっての私個人の一番の感想は、日本の歴史教育を早く何とかしなければならないという危機感であった。そしてその前提条件として「国とは何であるか」という国家論を必須の教育アイテムとして全国民の常識になるように醸成することが何より重要であるという事だった。

 最後に付け加えておくと、この番組に対する正論の主張を前面に取上げなかったのは、NHKという公共放送を標榜する機関に対し、早く消滅して欲しいという願望以外の何の望みも期待も持ちえないからとだけ言っておこうと思う。

 

 2020.9.1 記