鵜の眼・鷹の眼ご意見番

鵜の眼、鷹の眼の視点で、世の中の不可思議を切り取っていくブログです

道交法改正 路側帯と自転車

 昨年末頃、道路交通法が改正されて自転車の路側帯右側通行が禁止されるようになったとテレビの報道で聞いた。その時、時間が出来たら道交法の条文をちゃんと読んでおこうと思ったのだが、なかなか暇がなく、つい先日やっとそれを実行することが出来た。

 

 そんなことを考えたのは、そもそも自転車は元から車両の一種なので左側通行と定められていた筈ではないかと思ったからなのだ。

 

 以下に関係する道交法の条文を載せてみる。長いので読むには及ばないがその長さだけ感じとって欲しい。

 

----(以下、条文そのもの)

第十七条  車両は、歩道又は路側帯(以下この条において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき、又は第四十七条第三項若しくは第四十八条の規定により歩道等で停車し、若しくは駐車するため必要な限度において歩道等を通行するときは、この限りでない。

2  前項ただし書の場合において、車両は、歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない。

3  二輪又は三輪の自転車(側車付きのもの及び他の車両を牽引しているものを除く。)以外の車両は、自転車道を通行してはならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ないときは、自転車道を横断することができる。

4  車両は、道路(歩道等と車道の区別のある道路においては、車道。以下第九節の二までにおいて同じ。)の中央(軌道が道路の側端に寄つて設けられている場合においては当該道路の軌道敷を除いた部分の中央とし、道路標識等による中央線が設けられているときはその中央線の設けられた道路の部分を中央とする。以下同じ。)から左の部分(以下「左側部分」という。)を通行しなければならない。

5  車両は、次の各号に掲げる場合においては、前項の規定にかかわらず、道路の中央から右の部分(以下「右側部分」という。)にその全部又は一部をはみ出して通行することができる。この場合において、車両は、第一号に掲げる場合を除き、そのはみ出し方ができるだけ少なくなるようにしなければならない。

一  当該道路が一方通行(道路における車両の通行につき一定の方向にする通行が禁止されていることをいう。以下同じ。)となつているとき。

二  当該道路の左側部分の幅員が当該車両の通行のため十分なものでないとき。

三  当該車両が道路の損壊、道路工事その他の障害のため当該道路の左側部分を通行することができないとき。

四  当該道路の左側部分の幅員が六メートルに満たない道路において、他の車両を追い越そうとするとき(当該道路の右側部分を見とおすことができ、かつ、反対の方向からの交通を妨げるおそれがない場合に限るものとし、道路標識等により追越しのため右側部分にはみ出して通行することが禁止されている場合を除く。)。

五  勾配の急な道路のまがりかど附近について、道路標識等により通行の方法が指定されている場合において、当該車両が当該指定に従い通行するとき。

6  車両は、安全地帯又は道路標識等により車両の通行の用に供しない部分であることが表示されているその他の道路の部分に入つてはならない。

   (罰則 第一項から第四項まで及び第六項については第百十九条第一項第二号の二)

(軽車両の路側帯通行)

第十七条の二  軽車両は、前条第一項の規定にかかわらず、著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合を除き、道路の左側部分に設けられた路側帯(軽車両の通行を禁止することを表示する道路標示によつて区画されたものを除く。)を通行することができる。

----(以上、条文そのもの)

 

 さて、あまりに例外規定が多くて判りにくので、路側帯の右側通行禁止に関係する部分だけを切りだして、今の議論に関係ない部分は削除してみる。するとこうなる。

 

----(以下、簡略化した条文)

第十七条  車両は、歩道又は路側帯と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。

4  車両は、道路の中央から左の部分を通行しなければならない。

第十七条の二  軽車両は、前条第一項の規定にかかわらず、道路の左側部分に設けられた路側帯を通行することができる。

----(以上、簡略化した条文)

 

 つまりは、通常は路側帯は自転車は走っちゃいけない場所なのだが、道路の左側にある場合だったら走ってもいいと書いてあるのだ。逆を返せば、路側帯の右側通行は禁止ということだ。こんな簡単なことが何故こんな難しい表現をしなければならないのか。

 

 しかも問題はそれだけではない。「路側帯とは何か」 が問題なのだ。道交法の最初のほうには、文言の定義が書いてある。そこから路側帯の定義を抜き出してみる。

 

三の四  路側帯 歩行者の通行の用に供し、又は車道の効用を保つため、歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によつて区画されたものをいう。

 

 ここで重要なのは、「歩道の設けられていない」 という部分の記載だ。つまり歩道がある場合には車道上に引かれた白線で区切られた部分は路側帯ではないと言っているのだ。何のことだかおそらくチンプンカンプンだろう。

f:id:norimakihayate:20140429143730j:plain

 (この道路の左端の白線はここから左は路側帯という意味である)

 

 道路の端に車道はここまでですよと言わんばかりに白い線が引かれていることがあるが、この線の外側が路側帯だ。しかし、その更に外側に歩道がある場合はそれは路側帯ではありませんよというのだ。歩道の無い道路で路側帯があったら、自転車はそこを走ってもいい。だけど、急に途中から歩道が設けられていたら途端にその白線の外側は走っちゃいけませんよというのだ。こんなバカな事があるだろうか。

f:id:norimakihayate:20140429143703j:plain

 (この道路の場合は左に歩道があるので、白線の左側は路側帯ではない)

 

 この文章の最初に戻って、道交法改正の事をテレビの報道で知ったシーン。この時、実は行きつけの接骨院で治療をしていた。そこの院長が一緒に報道を観ていて、「路側帯って何だ?」とのたもうたのだ。この人は自動車運転免許こそ持っていないが、自動二輪の免許は持っている。

 

 

 一般の大人だってこの位の理解だ。しかし自転車は小学生だって使う乗り物である。上記二つの画像で白線の左側を走っていいのか、いけないのか立派な大人だって判断がつかないのではないか。